YouTube調査ノート

【AI × YouTube 調査ノート】ReHacQで話題の「学歴の序列と文理年収格差」——動画の主張をデータで裏取りしてみた

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はじめに

今回取り上げるのは、経済・ビジネス系YouTubeチャンネル「ReHacQ−リハック−」の動画です。

動画タイトル:【コムドットやまとvs学歴】新企画「Real学歴厨club」!理系より文系で早慶の方が年収が高い?偏差値は意味がない?【ReHacQvsベテランちvs高田ふーみん】
チャンネル:ReHacQ
動画リンク:https://youtu.be/i9_TXSjycjY?si=dsVVnXRmGtwStH5l

この動画では、上智大学を中退(本人いわく「勇退」)したコムドットやまと氏、京都大学を中退した高田ふーみん氏(wakatte.tv)、東京大学理科三類に在学中のベテランち氏、そしてReHacQプロデューサーの高橋弘樹氏が出演し、大学の序列、偏差値の意味、理系と文系の年収差、受験システムの構造といったテーマについて議論を交わしています。

本記事では、この動画内で語られた主要な主張を5つ抽出し、公開データや統計を用いてファクトチェックを試みました。動画の感想ではなく、「データで裏が取れるかどうか」にフォーカスしたレポートです。


調査①:「東大理三は同世代約100万人中ベスト100」は本当か?

動画での主張:
出演者たちは、東大理科三類の合格者が同世代の人口規模に対していかに少ないかを強調していました。趣旨としては、同世代約100万人の中で理三に受かるのは上位約100人であり、文字どおり「ベスト100」に入る頭脳だという見解です。

データによる検証:
東京大学の公式発表によると、2026年度の理科三類の前期日程募集人員は97名です(従来の95名から2名増員、文部科学省に認可申請が行われました)。2026年度入試の最終合格者数は99名でした。

一方、現在の大学受験世代(2006年前後の出生者)の人口規模はどうか。総務省統計局の人口推計によると、2025年1月1日現在で18歳となる人口(2006年生まれ)は約109万人です。

  • 出典:東京大学 一般選抜ページ(2026年度入試情報)
  • 出典:グリットメディカル「2026年度 東京大学理科三類 合格発表」(2026年3月12日)
  • 出典:総務省統計局「人口推計」(令和8年4月報)

結論:
同世代は「約100万人」ではなく「約109万人」、理三の定員も「ちょうど100人」ではなく「97〜99人」ですが、大筋として正確です。同世代で上位0.01%未満という趣旨は事実に即しています。


調査②:「理系より文系で早慶の方が年収が高い」は本当か?

動画での主張:
動画タイトルにもなっているこの論点について、出演者たちは「文系で高年収の職業(テレビ局、商社、銀行、弁護士など)を目指すには早慶以上の学歴がほぼ必須」という趣旨の分析をしていました。一方で理系には「手に職がある」安定性があることも認めています。

データによる検証:
経済産業研究所(RIETI)が慶應義塾大学の日本家計パネル調査(JHPS)データを用いて行った分析によると、男性の場合、文系出身者の平均年収は559万円(平均年齢46歳)、理系出身者は601万円(同46歳)であり、理系の方が約42万円高いという結果が出ています。

さらに、理系出身者は年齢とともに所得上昇の傾斜が大きく、40歳以降では理系の非国立出身者ですら文系出身者を上回ります。役職者比率でも理系が文系を上回っています(理系39.6% vs 文系32.1%)。

ただし、このデータは「大学の難易度別」の分析ではなく、国立・私立の区分にとどまります。早慶文系のトップ層(五大商社・外資金融・マスコミ就職者)に限定すると、文系の方が高年収になるケースは十分あり得ます。一方で文系全体は「所得の幅が大きく」、高年収層と低年収層の格差が理系より顕著です。

  • 出典:RIETI DP 11-J-020「理系出身者と文系出身者の年収比較-JHPSデータに基づく分析結果」

結論:
全大学・全学部を含む統計では理系の方が平均年収は高いです。ただし「早慶文系のトップ層」に限定すれば文系優位になる可能性はあり、動画の議論は特定の前提条件のもとで一理あります。


調査③:「日本では理系の最高到達点が医者」は本当か?

動画での主張:
やまと氏は、日本において理系人材が目指す年収の頂点は医師であり、海外のようにエンジニアがアプリ開発で巨額を稼ぐといったキャリアパスが描きにくいという趣旨のことを語っていました。

データによる検証:

まず日本の医師の年収です。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、勤務医の平均年収は約1,338万円。アルバイト・副業込みでは約1,600万円程度と推定されます。開業医はさらに高く、第25回医療経済実態調査(2025年11月公表)では医療法人立有床診療所院長の平均年収が約3,232万円に達します。

一方、日本のITエンジニアの平均年収は約450〜540万円で、全職種平均(約430万円)よりは高いものの、医師には遠く及びません。

米国では状況がまったく異なります。米国のソフトウェアエンジニアの平均年収は約1,200〜1,500万円とされ、日本の2〜3倍です。テクノプロHDと同志社大学STEM人材研究センターの共同調査でも、日米のエンジニア給与格差は拡大傾向にあることが指摘されています。米国ではエンジニアが全職種中で最も平均給与が高い職種のひとつです。

  • 出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
  • 出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査」(2025年11月公表)
  • 出典:テクノプロHD「エンジニア給与の日米比較調査」
  • 出典:エクストリーム「エンジニアの年収を考える Vol.1:海外と日本の違い」

結論:
概ね正確です。日本のITエンジニアの年収は医師の3分の1程度であり、理系のキャリアパスとして年収面で医師が突出している構造は統計的に裏付けられます。米国とは対照的な状況です。


調査④:「共通テスト1,000点を110点に圧縮して550点満点で合否判定」は本当か?

動画での主張:
出演者たちは、東大が共通テストの1,000点を110点に「圧縮」し、二次試験440点との合計550点満点で合否を決めるという配点構造を説明していました。この圧縮率の高さを「かっこいい」と評する独特の価値観も語られていました。

データによる検証:
東京大学の公式入試情報によると、2025年度入試(新課程)から「情報I」が加わり共通テストは1,000点満点に変更されました。東大はこれを110点に換算し、二次試験440点との合計550点満点で合否を判定します。共通テストの比率は全体の20%です。

  • 出典:東京大学 一般選抜ページ(2026年度入試情報)
  • 出典:Z会「東大受験(一般選抜)に必要な科目は?」(2026年3月9日)
  • 出典:レクサスE.C.「2026 東京大学 理科Ⅲ類」(2026年1月19日)

結論:
正確です。公式データと完全に一致します。


調査⑤:「理三の合格ラインは550点中380点、トップ層は450点」は本当か?

動画での主張:
ベテランち氏は、理三の合格最低ラインが550点満点中380点程度(理一は約320点)であること、トップ合格者は450点ほど取ることを語っていました。

データによる検証:
各予備校の公開データによると、2025年度の東大理科三類の合格最低点は380点台とされており、理科一類は320点前後です。トップ合格者の得点については公式の合格最高点の公開が限定的ですが、予備校の分析・受験生の得点開示集計では、理三合格者の上位層が440〜460点に達するケースが報告されています。

  • 出典:UTaisaku-Web「東大得点開示集計2026」
  • 出典:グリットメディカル「東大理三が日本最高峰と言われる本当の理由」(2026年2月27日)

結論:
概ね正確です。合格最低点、トップ層の得点ともに予備校データとおおむね整合します。


まとめ:主張 vs データ 一覧表

動画内の主張判定根拠
東大理三は同世代100万人中ベスト100◎ 概ね正確定員97名 / 同世代約109万人(公的統計)
文系で早慶の方が理系より年収が高い△ 条件付き全体平均では理系>文系。早慶文系トップ層に限れば成立しうる(RIETI調査)
日本では理系の最高到達点が医者◎ 概ね正確医師平均年収1,338万円 vs エンジニア約500万円。米国ではエンジニアが1,200万円超(厚労省・テクノプロHD調査)
共通テスト1,000点→110点に圧縮、550点満点で判定○ 正確東大公式入試情報と完全一致
理三の合格ライン380点、トップ層450点◎ 概ね正確予備校データ・得点開示集計と整合

調査の裏側:こうしたレポートを効率的に作るには

今回の調査では、市場規模データ、競合動向、技術トレンド、政策動向といった複数領域の情報を横断的に収集・整理しました。こうした「テーマを決めたら関連情報を網羅的に集めて構造化する」作業は、人手で行うと膨大な時間がかかりますが、AIとデータ活用基盤を組み合わせることで大幅に効率化できます。

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「AI × YouTube 調査ノート」とは
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